オ ラ ン ダ 滞 在 記
更新日 : 2008年3月3日

平成19年度日本大学長期海外派遣研究員として、オランダのGeoDelft(デルフト地盤研究所)に1年間の予定で赴任することになりました。いろいろとご迷惑をおかけいたしますが、その分オランダで充実した日々を送れるようにがんばります。皆様方にはオランダ滞在記をお楽しみ下さい。

皆さまからのお便りなどお待ちしております。こちらから お願いします。

シビル・エンジニア向け ジオ・エンジニア向け クイズに挑戦

もう一つのデルフト(3)
「デルフト号」の模型です。デルフト号は1783年に完成し、デルフスハーフェンの港から出港して行きましたが、イギリスとの闘いにより、1797年にスケベニンゲン沖に沈没してしまったそうです。現在は残された設計図を元にその復元作業が当時の手法により行われており、多くのベテランのシニア・ボランティアと学生がインターンシップの一環で一緒に働いているとのことです。復元作業は細かいところは残念ながら撮影が禁止されておりましたが、屋外での船体の組み立ては撮影が許可されており、63メートルの長さを持つデルフト号の骨組みが組み上がっておりました。2010頃を目処に完成予定だとボランティアの説明員の方から説明を受けました。歴史の事実を知ると一層興味がわいてきます。

もう一つのデルフト(2)
デルフトの南東に位置しており、マース川の河口にデルフスハーフェンという街があります。スキダムからメトロが出ており、デルフトからも20分ほどで到着します。メトロ駅から地上にあがると、なんとそこにはデルフトの町並みが存在しております。風車・運河・レンガの家・・・、まさにデルフトのようです。(デルフトよりもデルフトらしい?!)
このデルフスハーフェンとは、「デルフトの港」という意味で、VOC(東インド会社)6都市の1つであるデルフトは、大きな川には面しておらず、外港としてデルフスハーフェンを作ったようです。1811年まではデルフト市に属しており、その後、現在ではロッテルダム市に属しております。歴史の事実を知ると一層興味がわいてきます。

もう一つのデルフト(1)
デルフトの市街から1キロほど離れた場所に、1661年に完成した火薬庫があります。この火薬庫はスキー川に面しており、写真左の通り入り口の門は立派に装飾されております。また、火薬庫は池の中に2つ現存しております。実はさかのぼること7年前の1654年に市街地の北側にあった火薬庫が大爆発を起こしたそうです。40トンの火薬が爆発し100名以上が亡くなり、1000名以上が負傷したそうです。こちらで当時の様子がご覧頂けます。その後市街地は復旧し、火薬庫が郊外に移設されたようであります。
この場所は現在は、スカウトのキャンプ施設に使われており、写真右のように室内にはベッドが備え付けられており、子供用の宿泊施設として使用されております。
この頃に描かれた「デルフトの眺望」(フェルメール・1660年頃)はデルフトの南側から描いたものであり、ほとんど被害がなかったようです。歴史の事実を知ると一層興味がわいてきます。

デルフトで唯一です
オランダの象徴でもある風車はデルフト市内で1つだけ見ることが出来ます。街中にある風車は風をつかまえやすくするために台座の上に造られています。青の旗が出ている日は風車がオープンな日であり、中に入ることができます。高台からの眺めはなかなかなもので、写真中央のバックに見えるのは傾いている旧教会(右)と新教会(左)です。右側の遠いところにデルフト工科大学の校舎が小さく見えております。デルフトには、その昔15個の風車があったそうです。右の絵はデルフトの風車を描いたもので、右から2番目のものが唯一現存しています。注目すべきは、これら風車が城壁の上に設置されていることです。この城壁と手前の運河の面影を今は見ることが出来ません。城壁は撤去され風車が1つだけ残されています。また、運河は埋め立てられ現在は鉄道が走っております。

デルフトの繁栄
東インド会社(VOC)がオランダの発展に大きな影響を及ぼしたのはよく知られたことであります。この東インド会社は1602年にオランダの6つの都市が中心になり作られました。その中の1つがデルフトであります。デルフトの他には、アムステルダム、ロッテルダム、ホールン、エンクハイゼンそしてゼーラントです。その東インド会社の建物を市内に見ることが出来ます。壁にはVOC(Verenigde Oost-indische Company:英語でUnited East-india Company:日本語で連合東インド会社)のマークがあり、デルフトのDも組み込まれています。1631年に作られたこの建物は、現在は改築してアパートとして使用しているそうです。歴史を感じます。


オランダから声援をおくってます
今年も箱根駅伝の季節がやってきました。校友会の箱根駅伝振興特別委員会に参加して早5年目を迎えます。学部の枠を超えた様々な卒業生の方と交流をさせていただいており、とても勉強になる委員会であります。残念ながら本年は海外滞在中のため、あまりお役に立てませんでしたが、白川良和先輩(商学部校友会)から観戦ガイドブックとポスターをオランダまで送付いただきました。早速アパートのガラスに貼ってオランダで応援しております。
縁がありましてホームページのお手伝いをさせていただいております。こちらからご覧ください。
走れ日大!34年ぶりのV13を目指して!!
皆様も熱い声援をお願いします。


留学家族のクリスマスパーティ
ING(International Neighbour Group)という組織がデルフト工科大学を中心とした教育・研究機関へのビジターの家族向けにあります。私はデルフト工科大学ではないのですが、快く加入させていただきました。アクティビティーとしては、オランダ語講座・英語講座・クラブ活動などが活発におこなわれております。私もオランダ語講座に週1回参加しております(レッスンの模様は次の機会にゆずります)。
ING主催のクリスマスパーティーが開催され、家内と共に参加いたしました。歌あり、踊りあり、紙芝居ありでとても楽しいオランダのクリスマスパーティを味わうことが出来ました。ホスト・ホステスの皆様ありがとうございました。写真右はデルフト工科大学の学長であるFokkema先生も来られていましたので、一緒に写真を撮らせていただきました。


オランダのサンタクロース
デルフトに11月の末にシンタクラースがやって来ました。シンタクラースとは4世紀頃の聖人セント・ニコラウスのオランダ語読みだと言うことがwikipediaにあります。14世紀頃からニコラウスの命日である12月6日を「シンタクラース祭」としてお祝いしているそうです。シンタクラースはオランダらしく運河を船に乗って登場します(写真左)。その後はトナカイではなく白馬に乗って町中のパレードがおこなわれました(写真中央)。お供として黒色をしたピートを連れてくるのだそうです。ピートは、黒人であるという説や子供にプレゼントを渡すために煙突に入ってススで黒くなったという説があるようです。シンタクラースとピートは、街中の施設を回って子供にプレゼントをあげておりました。なんと、子供だけでなくGeoDelftにもやってきて、仕事中のスタッフは手を休めて、シンタクラースとのひとときを歌を歌ったりしながら楽しみました。(写真右)

デルフトといえば・・・
デルフトといえば何を思い浮かべますでしょうか?
一つはデルフト焼き、もう一つはフェルメールの「デルフトの眺望」・・・・。というところでしょうか。先日、遅ればせながらデルフト焼きの窯元に行って参りました。やはりありました。写真左のデルフト焼きの「デルフトの眺望」。デルフト焼きはハンドペインティングで写真中央のように細かい作業を手作業で実演しておりました。高価な理由がわかりました。(お土産としては高価すぎますので悪しからず。)
最近では写真右のミッフィー(オランダではナインチェと呼ばれています)も人気があるようです。ミッフィーはオランダ人のディック・ブルーナさんの絵本の人気キャラクターで全世界で8500万部以上が売れているそうです。オランダ中央部のユトレヒトにミュージアムがあります。


これが日大で有名な・・・
夏期休暇にスペインを訪問しました。スペインのカタルーニャ地方出身のチェロ演奏家(指揮者・作曲家としても活躍)のカザルスの銅像を偶然に見つけました。優雅に演奏している銅像は道路中央の緑地帯に造られており、周りをきれいな花と緑が取り囲んでおりました。
日本大学においても、お茶の水の「日本大学カザルスホール」として親しみある名前でありましたが、詳しいことはあまり知りませんでした。ウィキペディアで勉強したところ、ウィーンフィル・ベルリンフィルで指揮者として活躍したフルトヴェングラー氏によると「カザルスの音楽を聴いたことのない人は、弦楽器どうやって鳴らすかを知らない人である」と絶賛したそうです。また平和活動家としても有名で、1971年に国連平和賞が授与されたそうです。
本学も彼の名前に負けないようなホールとして音楽を通じた世界平和を目指していかなければならないですね。

さすがオランダならではの発想ですね!?
デルフトにおいてマーチングバンドのフェスティバルが開催されました。5団体が参加し、マルクト広場でのドリル演奏とその後に市内のパレードが行われました。
非常に興味を持ったのは、さすが自転車王国のオランダならではのマーチングバンドがありました。演奏者が自転車に乗っております。スネアドラムも自転車に固定されており、トランペットもトロンボーンもスーザフォーンも片手で運転して演奏しておりました。さすがに両手を使って演奏する木管楽器の人はいませんでしたが、観客から大きな拍手を受けておりました。個人的には「楽器を壊さないように注意してね。」という気持ちで見守っておりました。

オランダの女王を見てきました
毎年9月オランダの国会開会の際に、女王が今年度のオランダの国家の方針を読み上げる「Prinsjesdag」という行事が行われます。併せて国会周辺を黄金の馬車にのってパレードいたします。場所はハーグのビネンホフ後ろみえるフェルメールの絵画はマウリッツハイス美術館です。女王が到着するまでに騎馬隊や軍楽隊の行進がしばらく続き、黄金の馬車に乗る女王の姿を背の高いオランダ人をかきわけて撮影することができました。
本年の女王のスピーチの詳細はこちらから見ることができますが、環境問題が大きく取り上げられております。例えば「4年間に風力発電を2倍にする」とか「電車利用を1年で5%増やす」・・・・。面白いのは「スポーツでトップ10入りをする」というのもあります。オランダに暮らしていて、そう言えばオランダの色々なところで風力発電用の風車の建設現場を見ることができます。また、すぐには完成しませんが、電車やトラムなどの公共交通機関の整備も積極的に行われております。近い将来デルフト駅も地下化をするそうです。(デルフトの新駅舎のデザインも既に決まっております。詳細はまた次の機会にお知らせします。)

水と闘って国土を獲得
国土の半分以上が海面下にあるオランダはこれまでに何度となく高潮による被害を受けてきました。高潮への対策として、1957年からデルタプランを立案し、実施してきております。
写真左から大堤防(1932年完成)、東スヘルデ洪水バリア(1986年完成)、マエスラント洪水バリア(1997年完成)を視察して参りました。詳しくは、「シビル・エンジニア向け」のページに載せてありますので併せてご覧下さい。
いずれもオランダになくてはならない重要な構造物であり、オランダの象徴となっております。

ロッテルダムは建築イヤーです
第2次世界大戦で荒廃したロッテルダムには新しいデザインの建築物が数多くあります。また、今年はロッテルダム建築イヤーだそうで、様々なツアーが企画されております。写真左は有名なキューブハウスです。家の中の様子も公開されておりましたが、住みたいとは思いませんでした。写真中央は新マース川岸にあるビルですが、強風に耐えるためでしょうか?棒で支えられた形になっております。写真右は張り出しているビルですが、この形の建物を他にもよく見かけます。個人的にはいずれもあまりよいとは思いませんが、専門家が見ると・・・なのでしょうか。

スケベでバンジー??
オランダの名所の一つにスヘフェニンヘンというビーチがあります。ヨーロッパで最も賑わっているビーチの一つで私の住んでいるデルフトからはトラムに乗って30分ほどです。こちらの人の発音を聞くと、どうも「スケベニンゲン」というように聞こえてきます。まるで○○さんのようですね??!
8月上旬に行ったときは、写真のようにとても賑わっておりました。日光浴や海水浴はもちろんですが、写真右のように海岸ではバンジージャンプのできる塔が建っており、1回55ユーロで楽しむことができます。ただ、残念なことにオランダの夏は既に終わってしまったようです。日本では残暑厳しい8月後半だと思いますが、こちらはもう秋に入っているようでとても涼しくよい気候です。

運河をひとっ飛び!
オランダの伝統的なスポーツで「フィーエルヤッペン」という競技をご存じですか。棒を使って運河をひとっ飛びする競技で、飛び越えた距離を競う競技であります。わかりやすく言いますと「棒幅跳び」というところです。これもオランダならではと思います。
訪れた日は、ホランド地区の選手権が開催されておりました。これまでの最高記録は20.6メートルだそうです。うまく飛び越えると写真中央のように砂場に着地することができ距離が計測されます。もちろん飛び越えられない場合は写真右のように運河の中にドボンとなります。選手権ということで、選手の表情も真剣そのものでした。


マーチングバンド・イン・デルフト
夕方、研究所から帰ってきてソファでくつろいでいると、どこからともなくブラスバンドの演奏が聞こえてきました。音がする方向に行ってみると近所のスーパーの広場でマーチングバンドがパレードやドリルを披露しておりました。しかも4団体もいました。来年の9月にTaptoe Delft 2008が開催されるそうで、1年前からイベントPRをしておりました。また、今年の9月にも関連イベントが開催されるとのことで、楽しみにしております。デルフトがこんなにマーチングバンドが盛んなところだとは知りませんでした。
ちなみに写真中央の女性だけのバンドはデンマークから招かれているそうで、とても可愛らしいコスチュームとドラムメジャーの笑顔がとても印象的でした。
日本大学吹奏楽研究会のみなさん!9月15日の定期演奏会(東京厚生年金会館)の準備は大丈夫ですか?私は出張中で行くことはできませんが、オランダから大きな声援を送ります。


ライデン・風車博物館
ライデンにある風車博物館を見学に行きました。キンデルダイクのところでも説明しましたが、オランダには風車はなくてはならない構造物であります。この風車は、水を汲む目的ではなく、1743年に建設された粉引き用に使われていたものを博物館にしたものです。内部には風車の歴史や仕組みなどがわかりやすく説明されており、実際に見ることもできますので楽しみながら学ぶことができます。最盛期では9000基もの風車が活躍していたそうですが、現在では1000基ほどが残されているそうです。そして、現在では環境ほどの目的からクリーンエネルギー源となる風力発電用の風車が建設されております。それにしてもオランダは風が強いです。



自転車天国(2)
6月13日
ご要望にお応えしましてご報告(その2)をさせていただきます。
写真左はアムステルダム中央駅付近にある4層式の駐輪場であります。日曜日に調査に行ったのですが自転車で満杯な状況であります。写真中央は、デルフト駅前の駐輪場を撮影したものです。やはり数多くの自転車が止めてありました。最後に、写真右はデルフト工科大学の駐輪場であります。学生は校舎の前まで自転車で行くことができ、目の前に自転車を止めます。いずれの写真からも分かるとおり、やはりオランダは自転車王国であります。これも国土が平坦で坂道がほとんどない事が大きな原因であるように感じます。繰り返しますが、私は、健康のために徒歩で通勤しております。(オランダでは自転車はとても高価であります)


自転車天国(1)
6月13日
ご要望にお応えしましてご報告をさせていただきます。
オランダでの自転車事情を知りたいとのメールが来ましたので、可能な限り調査して参りました。3枚の写真はデルフト市内の自転車専用道路であります。日本では、歩行者が最優先に感じますが、オランダではやはり自転車が最優先であるように感じます。専用道の整備・専用信号(写真右)の整備が整っております。ちなみに左の写真からも分かるようにここでは自転車も一方通行になっており、自動車と同じく右側を走ります。また、左折用にもレーンが存在いたします。中央の写真からも分かるように、自転車に乗る人のほとんどが、曲がる際に手信号で合図を致します。感心します。ちなみに私の通勤は健康のために自転車ではなく徒歩通勤です。



オランダといえば、・・・(2)
5月26日
オランダといえば・・・の第2弾です。デルフトの町を散歩していると緑で覆われた丘が見えました。何気なく上ってみると水路(運河)となっておりました。よく見ると歩道の高さよりも水面の方がはるかに高い位置にきております。写真右では新しく住宅街が建設されておりますが、やはり水位よりも低い位置です。オランダ人の好きな言葉に、「神が地球を造ったが、オランダを造ったのは、オランダ人だ」というものがあるだそうです。オランダは、国土の40%が埋め立てによって造成されたもので、人が住む地域のほとんどに当たるそうです。さらに国土の1/4が海面下にあります。まさに「オランダ人が造った国家」なのであります。



オランダでは小さい頃から・・・
5月13日
デルフトにある公園で面白いものを見つけました。公園にはブランコや船の形をした遊具もありましたが、私が着目したのはこれらの写真で、子供たちは一生懸命にスクリューを回転させて遊んでおります。これは、キンデルダイクで見たスクリューのミニチュアであります。子供たちは水路から一生懸命に水を汲んで遊んでおりました。水路に囲まれた陸地で生活するオランダの人々にとっては、運河の水位は非常に重要です。子供の頃から水を汲む仕組みを学んでいくのですね。なるほど、なるほど。